いよいよ具体的なアクセス解析に入りましょう!最初は予約サイトで、予約に繋げるための鍵となる、訪問者の分析を解説していきます。

Googleアナリティクスを使う目的や用語がまだの方は、こちらを先に見てくださいね。

Googleアナリティクス初級編 Part1(目的・用語)はこちら

訪問者の分析の目的

アクセス解析で訪問者の分析を行う必要があるのはなぜでしょうか?ちゃんとした目的意識なく数値だけ眺めて一喜一憂しても、あまり意味がありませんよね。

ここでは訪問者の分析をする目的を改めて確認していきましょう。大事なことなので、アクセス解析をする時はいつも思い出してください。

課題を明らかにする

訪問者の分析を行う上で何よりも大事なのは、サイトの「課題を明らかにする」ことです。訪問者の行動や傾向から意味を抽出して、何が足りないのを導き出す必要があります。

この課題を明らかにする部分ですが、明示的にこれがダメだ!というものだけではなく、複数の数値から導かれる「仮説」ベースの課題も含みます。

つまり、数値を見ることでお客様がこう思っているのじゃないか?と意味合いを考えることが大事になるのです。

改善策を企画して実行する

課題が明らかになったら、それに対応する改善案を企画して実行しましょう。

改善案の企画においては、一般的な枠組みでもある「重要性(改善のインパクト)」と「実行性(本当に出来るのか)」を考える必要が出てきます。

例えばすぐに出来ても、あまり影響が出ないものは課題をしっかり解決できるのか、逆に影響は大きいけど、やるのに時間とコストがとてもかかるものは、費用対効果を考えないといけません

対策の結果を見る

改善を企画して実行した後は、対策の結果をしっかり見ましょう。

ここで大事なのは、対策の結果を期間比較で見ていくことです。改善前と改善後を比べることで、どのくらいの効果があったのか確認します。

この時にポイントとなるのは、1つの課題に対する改善施策を行う方が効果検証がしやすいことです。もし複数の課題に対応するために、まとめて改善施策を行ってしまうと、何が良くて何がダメだったか見づらくなることがあります。

ただし、1つの改善案で複数の課題を一気に解決できる一石二鳥の施策があるなら、最優先で取り組みましょう

まずは数値を見よう

分析の目的が理解できたところで、次は数値を見ることから始めましょう。この数値を日常的に見ることで、普段にはない違和感や異常点に気付くことができます。

まずは訪問者数の全体像を掴むことから始めると、馴染みが出てきて予約サイトを身近に感じてくることができますよ。日常的にそれぞれ見るべき数値をご紹介します。

ユーザー数で母数を知る

なんといっても大事なのは、どのくらいの何人が予約サイトへ来ているか判断するための「ユーザー数」を見ましょう。このユーザー数が低い場合は、そもそも集客できていないことになります。

毎日何人が来てくれているのかを知ることで、規模をしっかりと掴みましょう

このユーザー数は季節や曜日(土日)でも変わってきますので、前提として変化があるものとして捉えることがポイントです。

セッション数で流れを見る

続いては1人のユーザーがどのくらいの頻度で来てくれたかを見る「セッション数」です。1ユーザーあたりどのくらいのセッションがあるのか、1日に合計で何セッションあるのかを見ていくと、ユーザーの流れが見えてきますよ。

もし1ユーザーあたりのセッション数が多い場合は、日や時間を分けて何度も見てくれている=興味を示してくれている可能性が高くなります。

予約に繋げるには、このセッション数がどのくらいになっているかも見ていきましょう。

ページビューで人気ページを確認する

最後にどのページが一番見られているか「ページビュー」で確認しましょう。

ページビュー(PV)が多いページ=人気ページと捉えていただいて大丈夫です。ただし、一般的にはトップページのPVが多くなる傾向にあるため注意が必要です。

実際にトップページが全体PVに占める割合などを見てくことで、過度にトップページに集中してるかなどを捉えていきますよ。もしPV全体の半分以上がトップページに集中していたら注意してください。

訪問者の分析で見るべきポイント

日常的に数値を見て傾向を掴んだところで、いよいよ具体的に見るべきポイントを解説していきます。大きく2つの観点(集客と行動)と、補足するユーザー属性に分けてご紹介しいます。

集客出来ているか

予約サイトにとって何より大事なのは、サイトへ「集客」できているかどうかです。この集客出来ているかを見る指標として、以下の数値を確認しましょう。

新規ユーザーの獲得

サイトへ集客出来ているかの一番の目安としたいのが、新規ユーザーの獲得状況です。いつも来てくれている常連さんはとっても大事なのですが、ビジネス上成長をしていくためには常に新規のお客様が欠かせませんよね。

新規ユーザーの獲得は、このような観点から数値を確認しましょう。

  • 新規ユーザーの獲得数(日あたり、週あたり、月あたり)
  • 新規ユーザーの全体における割合(%)

新規ユーザーが常に一定数来ていれば、各集客施策は上手く回っていると考えられます。逆に数自体が少ない場合は、集客の仕組みや施策を見直す必要があります。

新規ユーザーは「ホーム」から簡単に確認が行えますので、期間を指定して見てみましょう。

再訪問の割合

新規ユーザーを上手く獲得出来ていたら、次はそのユーザーがしっかりとサイトに再訪してくれているかどうか確認しましょう。

ECなどと異なり、一番最初にサイトを訪れて、そのまま予約をするお客様はとっても稀です。通常は何回かサイトへ再訪することで最終的に予約に至るケースがほとんどを占めます。

つまり獲得したユーザーが、再訪問していくれているかが鍵になってきます。主に見るべき指標は以下の通りです。

  • 1ユーザーあたりの平均セッション数
  • リピーターの割合=100% ー 新規ユーザー割合
  • ユーザーの維持率(何日後にどのくらい来てくれているか)

しっかりと再訪をしてくれていると、最後の予約まで繋るようになります。新規ユーザーは獲得できているけど、再訪がない場合は、再訪してもらえない原因や課題を深堀りしましょう。

リピータは「維持率」のページから簡単に確認できますよ。

また、ユーザーあたりの平均セッション数は、「集客」の中にある「ユーザー獲得」画面で見ることができます。

流入経路の確認

集客の最後に見たいのは、どういった経路からユーザーが来てくれているかです。この経路を確認することで、経路別に集客が上手くいっているかを見ることができますよ。

具体的には「トラフィックの獲得」を見ることで、セッション参照元/メディアを確認できます。この中で主に確認する部分は以下の通りです。

  • オーガニック(検索エンジン)経由の数や割合:SEOの効果が出てるか
  • SNS経由の数や割合:SNSの投稿から予約サイトへ誘導出ているか
  • リファーラル(他の予約サイト)経由の数や割合:使った特定媒体などから誘導出来ているか

この経路を見ることで、どういったところを入り口に集客しているか見ることができ、各経路別の対策が行えます。

サイトの各ページがしっかり見られているか

集客に続いては、サイトに訪問したユーザーが中身をしっかり見て検討してくれているかを確認しましょう。

ユーザー・セッションあたりのPV数

ユーザーがサイトを訪れた時に、合計で何ページを見たのかを見ることでどのくらい興味を持ってサイト内を見てくれているか確認することができますよ。

各種見るべき数値は以下の通りです。

  • ユーザーのあたりのPV数:全ての訪問で合計何ページ見てくれたか
  • セッションあたりのPV数:1回の訪問で合計何ページ見てくれたか

この数値が低い場合は、十分にサイトを見てくれておらず、深い検討に入ってない可能性があります。

また、逆にこの指標が高すぎる場合も注意が必要です。ナビゲーションが上手く機能せず、特定のページ(例:トップページ)をハブにして各ページを見ている可能性があります。

ユーザーあたりのPV数は「エンゲージメント」の「イベント」から、「Page_view」を選ぶことで見れます。※中で一度操作が必要なので注意が必要です。

セッションあたりのPV数は、直接見るには複雑な設定が必要なため、必要におじて手計算で求めるのが今の所もっとも楽になっています。(今後のGA4の改善に期待しましょう)

平均滞在時間

PV数と一緒に見たいのが、平均滞在時間です。もしPV数が多くても、平均滞在時間が短いと、流し見だけして深い検討に至っていない可能性があります。

  • セッションあたりの平均滞在時間
  • ページあたりの平均滞在時間

この平均滞在時間はページの特性にもよって差が出てきます。詳しくは以下の記事で解説していますのでご覧ください。

見やすい予約サイトはどうやって見分ける?

セッションあたりの平均滞在時間は、「集客」から「トラフィック獲得」に行くことで見ることができます。

ページあたりの平均時間は「エンゲージメント」から「ページとスクリーン」にいくことで、ページ単位で見ることができますよ。

サイト内の回遊率

滞在時間と是非一緒に見たいのが、サイトの回遊率です。

この回遊率は「ページビュー数÷ユーザー数(セッション数)」で計算することができますよ。

回遊率がある程度あり、かつサイトへの滞在時間が長くなっていれば、上手くお客様を次のページへ誘導しつつ、興味を持ってくれていることになります。

集客は出来ているけど、なかなか予約に繋がらない方は、是非この回遊率がどうなっているか確認してみてください。

全般的には「エンゲージメント」から「ページとスクリーン」にいくことで、ページ単位で見ることができますよ。

ユーザー属性

訪問者の傾向や行動が分かったところで、最後にユーザーの属性を確認しましょう。集客と行動に比べるとより補足的な情報ですが、お客様を理解してマーケティングに繋げることができますよ。

アクセス地域

ユーザーがサイトにアクセスした時に、目安となるアクセス地域を見ることができます。現地体験が行われる場所や地域によって取れる意味合いが異なりますが、概ね以下と捉えて大丈夫です。

遠方からのアクセス
旅やレジャーの計画段階や、具体的に出来るものを探しているところ。このお客様を再訪化できれば、より予約に繋げることができます。

近隣からのアクセス
旅やレジャーで既に現地に来ており、近い日(今日や明日)に参加できるものを探している。もしくは、近隣に住んでいる方が休みの日にできるものを探していると考えらます。
こういった場合は、すぐに予約に繋がりやすいため、見られているページや直前まで予約を受けられる仕組みが有効です。

このアクセス地域は「ユーザー属性」の「概要」から確認ができます。

デバイス

ユーザーがサイトにアクセスした時に使っているデバイスもしっかり確認しましょう。近年はモバイル化が急激に進んでいるため、概ねモバイルのアクセスが多くなる傾向があります。

このモバイルに絞って、アクセス解析(人気ページや再訪率)をすることもとっても有用です。というのも、最初の訪問の多くはモバイルになっていることが多く、予約だけPCでやるという方も未だいるからです。

モバイルでのアクセスを具体的に分析することで、大事な初回訪問やページなの行動を分析して課題を発見することができますよ。

このデバイスは「テクノロジー」の「概要」から確認ができます。

ブラウザ

最後にユーザーがアクセスした時に使ったブラウザです。ここも最近ではモバイル化の流れを組んでいるため、iphone(Safari)やAndroid(Chrome)に入っているブラウザが上位を占める傾向にあります。

もしよく使われているブラウザにサイトが対応していない場合は注意が必要です。知らない間にページのデザインやレイアウトが崩れ、壊れたサイトと思われているもしれません。

このブラウザは「テクノロジー」の「概要」から確認ができます。

課題の抽出と対応策を企画しよう

分析の見るべきポイントで各数値を見ていき、傾向や実態が見えてきたと思います。ここでようやく課題の抽出と対応策の企画に入るのですが、どこからどう手をつけて良いか迷ってしまいますよね。

今回は予約サイトの運営にあたって、必ず抑えたい大事なポイントをご紹介していきます。詳しい課題の抽出方法や考え方、具体的な対応策は中級編以降で解説しますのでお楽しみにしてください。

優先順位付け

各数値を見た結果ぼんやりとサイトの課題などを感じられるようになってきたと思いますが、具体的に何から取り組むべきなのでしょうか?

それはすばり「集客」を第一優先に考えることをおすすめします。というのも、結局サイトに訪問してくれる母数が少ないと、どんなにサイト内の行動や予約導線が優れていても、予約数の増加に繋がりません。

このサイト訪問の母数を担保することで、予約数の増加を行うためのベースを築くとともに、行動の分析をより行いやすくできますよ。

集客に関する課題抽出と対応策

最優先課題となる集客の課題と対応策は、どのように見ていけば良いでしょうか。ここで大事なのは「経路別」に分析をして見ていくことです。

なんとなく全体を増やそうと施策を行っても効果が薄く、経路別に傾向を見て課題抽出と対策を行いましょう

オーガニック経由の数が少ない

GoogleやYahooなどの検索エンジン経由の訪問が少ない場合は、なるべく優先して対応を考えましょう。主な対応策はSEOやSEOなどの広告の出稿になりますが、特にSEOは対応してから反映までの時間が長いため、最初に取り組むべき課題と対応策ともいえます。

トップページのSEO対策はこちら

主なSEO対策はこちら

SEO対策をして効果が出るまでの間に、他の対応を行うという考え方で大丈夫です。仕込んでから反映の間に、必要に応じて広告出稿を行ったり、他の経路の訪問増加を狙いましょう。

また、特定のランディングページを持つことで、ターゲット別に対策を行うこともできますよ。

特定のターゲットはランディングページで狙い撃ち

SNS経由の数が少ない

Facebook、Instagram、TwitterなどのSNS経由の訪問数が少ない場合は、適切にサイトへ誘導できているか再確認しましょう。

例えばSNS上ではいいねや共有が多くても、それがサイトに誘導できていないと効果が出なためです。もちろんブランディングやファン作り、潜在的なお客様へリーチするためにSNSを使うのも良いのですが、最終的に予約に繋げるための導線改善を考えましょう

SNSと連動した自社限定のキャペーンを行ったり、ブログ記事を投稿して誘導するのでも構いません。せっかく運用しているSNSを活用できるように、具体的な対策を行っていくことが大切になります。

他のサイトからのリファーラル数が少ない

メディアや個人ブログなどの別のサイトからリファーラルを受けられるに越したことはないのですが、オーガニックやSNSに比べると少しコントロールが難しいものになります。

したがって、時間ができたら対応するぐらいの気持ちで取り組みましょう。主な対応策は以下の通りです。

  • 観光協会への掲載依頼
  • アフィリエイトの利用
  • 提携業者を作り、相互に送客する

詳細な対応方法などは別の記事でご紹介します。

サイト内の行動に関する課題抽出と対応策

集客の対応を行って一定の母数が出来てきたら、いよいよサイト内の行動に関する課題抽出に取り組みましょう。ここでもおすすめの対応の順番がありますので、順番にご紹介します。

サイト回遊率が低い場合

なんといっても、ユーザーが1度の訪問で様々なページを見てもらうことが大事になります。1回あたりのサイト滞在時間が短くなったとしても、まずはサイトを回遊させる方が大切です。

サイトの回遊は主にナビゲーションの整備や各ページの誘導で対応していきますので、詳しく知りたい方は以下を参照ください。

サイト内の回遊を上げて滞在時間をUP

滞在時間が短い場合

回遊率が上がってきたら、各滞在時間の向上に取り組みましょう。まずは各ページ単位での滞在時間の向上が大事ですが、特に商品ページの作り込みが重要になってきます。

内容的にお客様の興味を惹きつつ、より詳しく見て検討してもらえるための工夫をしましょう。詳しくは以下の記事でご紹介しています。

売れる商品タイトルの付け方

予約サイトのスケジュールを魅力的に変える方法

商品のプラン化で魅力UPとラインナップ充実

まとめ

Googleアナリティクスを使ったサイト訪問者の分析はいかがでしたでしょうか?ここから実践編となるため、少しとっつきにくい部分が出てきてしまいますね。

そこで、まずは見るべき指標を定期的に確認するところから始めることをおすすめします。

数値を見慣れてくると、どこに課題がありそうだと勘所がついてくるため、それに伴いすべき改善策も自然とアイデアとして出てくるものです。

中級編からは、より具体的な課題の抽出方法と対応策を解説しますので、楽しみにしてください。