現地体験を販売する事業者が簡単に予約サイトを構築できるNutmegでは6種類のキャンペーンを自由に設定できます。オンライン予約サイトでよく使われるキャンペーンはほぼ網羅しており、今後も便利な機能を追加していく予定です。

当記事では「単純割引」にフォーカスを置いて、どのような場面で効果的に活用できるのかご案内します。

Nutmegで設定できるキャンペーン

2021年1月現在Nutmegで設定できるキャンペーン(プロモーション)は以下の6種類です。また、キャンペーン設定機能としては存在していませんが、商品Aと商品Bを組み合わせた「専用プラン」を作成して以下のいずれかのキャンペーンを利用するなど応用テクニックを使えば「コラボ割」のような方法もできます。

  • 単純割引
  • 早割
  • 直前割
  • 割増(わりまし)
  • グループ割
  • 家族割

単純割引

「単純割引」についての説明、使い方、応用編をご紹介します。

単純割引は最もシンプルなキャンペーンであり、私たちの生活の中で非常に身近な手法です。販売価格から20% または 1000円オフといった値引きは何よりも分かりやすく、選択基準が価格であるならばすぐに反応が得られるでしょう。フリマアプリをご使用されたことがある方ならば覚えがあると思いますが、価格重視の顧客が多い市場ではとにかくこの単純割引が効果的です。サイトによっては単純割引ではなく、シンプルディスカウント(Simple Discount)と呼んだりもしています。

短期的に効果を発揮する

単純割引、つまり”値引き”は強くお客様に刺さるため短期的な集客に向いています。SEOやSNSによる集客は時間がかかりますし、何としても売り上げが必要なタイミングもあると思います。そのような際にはキャンペーンが一種の起爆剤になります。
値引きによるメリット・デメリットを理解した上で判断ができれば、単純割引も事業戦略の一つになります。

メリハリをつけて、効果測定も行おう

割引キャンペーンはできるだけ「限定」して行わないといつも値引きしているサイトと思われてしまいます。Every day Low priceが戦略でなければ、割引キャンペーンの実施は一つの商品につき、ワンシーズン1回までにしておくのがいいかと思います。

もし下記のような状態になっていれば、もう少しだけキャンペーンの実施頻度が高くてもいいでしょう。共通していることは、どちらも短期売上への懸念ではなく、長期的に利益をもたらしてくれるリピーター形成に影響するからです。

・新規顧客の利用率が減ってきた
・近くのライバル店が同じ内容を更に安く実施していて、明らかに顧客が流出している

また割引キャンペーンは「最近調子悪いからやってみようか」というようなノリではなく何かしらの目的と結び付けて行います。実施後の効果有無を検証し、次に活かすことが理想です。目的なくキャンペーンを行うと、よくあるのが来年の同時期に「あれ、なんで去年はこの時だけ売上がいいんだろう?今年はイマイチなのかな?じゃあ値引こう」というような発想になってしまい、ズルズルとキャンペーン地獄に巻き込まれてしまいます。

キャンペーン実施の目的例
・在庫を売り切りたい
・1回あたりの催行人数を増やしたい
・稼働率を上げたい
・他社への流出を防ぎたい
・新規のお客様を獲得したい

オファーは大きいほど効果的

とても当たり前だとは思いますが、割引率や金額は大きいほどお客様の注目を引けます。最近ではGo To Travelキャンペーンの35%オフのインパクトは記憶に新しいですね。

中途半端に5%オフなどをやると効果が薄く、やり損になることも。新規のお客様をリピーターに変える目的で行うなら、リピーター顧客が生み出す生涯利益(Life time value、略してLTVと呼んだりします)がどれくらいなのかを試算すると何パーセント割引までなら投資できるというよう逆算できますね。

テレビショッピングで行っている「今ならさらにこれがついてくる」特典と合わせてオファーを大きく見せるのも有効な手段です。

ここだけの話しですが、旅行会社に15~30%の手数料を支払っても割引の連発に使われてしまうのがオチです。旅行会社は自社の利益確保が最優先ですので、事業者のリピーター形成はもちろん考えていません。こういう事情を鑑みると、旅行会社への手数料を下げる交渉を行い、自社のキャンペーンに投資できる原資を貯めておく方が長期的には芽を結ぶ戦略になると思います。

日本人は”限定”に弱い

我々日本人はとても”〇〇限定”という言葉に弱い傾向があります。ご当地限定、数量限定など記載があるとついつい目がいってしまいますよね。割引キャンペーンでも何かに制限をかけると特定のお客様に刺さるため結果的に商品ページへのランディング数を増やすことができます。
この何らかの限定がルーティン化できると付加価値として定着することもあります。

限定の例
・開催日時(クリスマス限定、毎月第二土曜日限定など)
・人数(1日1組限定プラン、人数限定モニタープランなど)
・お客様層(カップル限定、家族限定、学生限定 など)

単純割引を実施するおすすめの時期

割引キャンペーンは何月頃のタイミングで行うのがいいのでしょうか。マーケット(海外・国内)やインバウンドかアウトバンドかという要素を考慮する必要がありますが、大きく分けると旅行マーケットの中でのお客様の動きはこのような形が一般的です。

繁忙期
1月※例年 1月5日頃まで
3月
4月※国内 桜が有名な地域と後半のGW期間
5月※前半のGW期間
8月
9月※シルバーウィーク期間
12月※例年12月28日頃~

閑散期
2月※一部海外旅行は学生マーケットにより潤う
4月
6月
7月
10月
11月※国内の一部地域は紅葉需要あり

例えば一般的なキャンペーン実施目的に適したタイミングを考えるとこのようになります。

目的実施タイミング
在庫を売り切りたい繁忙期
1回あたりの催行人数を増やしたい繁忙期・閑散期
稼働率を上げたい閑散期
他社への流出を防ぎたい繁忙期
新規のお客様を獲得したい繁忙期・閑散期

在庫(空き状況)をフル活用したいならば稼働率が高くなる繁忙期にキャンペーンを実施します。繁忙期とはいえ、稼働率が100%になるのは一部日程だけなはず。在庫はできるだけ消費すべきものですので単純割引による売切り戦術が効果的です。

反対に稼働率がとても低くなりがちなのは当然閑散期です。1日でも開催日数を増やすためにも催行日に狙いをつけてキャンペーンを行うといった打ち手が取れます。

単純割引の設定方法

Nutmegで単純割引を設定すると、下記画像のように目立つバナーと共に自動設定ができる仕組みになっています。

キャンペーンの設定は画面左部のメニューから「プロモーション」を選択し、「プロモーションを作成」からスタートです。その後は下記のImageのように数ステップで設定を完了させられます。設定後もキャンペーンの編集画面へはワンクリックで飛べますので修正も簡単です。

1つのキャンペーンを設定するまでの所要時間はおおよそ1分程度です

応用テクニック

単純割引を使ったいくつかの応用テクニックをご紹介します。まずは使ってみて、お客様がどのように反応するのかを確かめていただきたいと思いますが、目的に応じて使えるとシンプルな割引も大切な戦術に変わります。

在庫を売り切る

現地体験における在庫とは、最大の催行可能人数に対する残席数のことです。例えば、とあるツアーの最大人数が10名で既に4名分の予約がある状態では、10-4=6名が在庫です。
1回あたりの催行人数をできるだけ最大値に近づけていくための打ち手として単純割引は活用できます。

具体的には、既に予約がある日+残席がある日に対して限定した単純割引を設定します。キャンペーン設定を行ったら、露出を高めるためにSNSでの発信もセットにするといいかと思います。
なお、催行日間際に在庫が多くある際には「直前割引」に切り替えて割引率を高めたプロモーションをかけるという方法もあります。

自社マーケットプレイス機能を使い露出アップ

キャンペーンを効果を高める露出方法はSNSの他に「自社マーケットプレイス」を使う方法があります。自社マーケットプレイスはNutmegのスタンダードプラン以上で使えるようになる機能で、特徴の一つに特集と呼ばれる旅行会社/事業者独自の企画を載せることができます。特集を組み、ホームページの訪問者に今何がお得なのかをアピールすることができるので単純割引を仕掛けた現地体験への誘導に繋がる可能性があります。

自社マーケットプレイス機能については下記記事をご覧ください。
スタンダードプランの特徴・使うメリット

自社マーケットプレイスを使うと独自の「特集」を設定できる

2つ以上の商品を組み合わせる 付加価値+割引戦略

いわゆる”コンボ割”や”抱き合わせ販売”のイメージです。商品Aと商品Bを合わせて”商品C”という専用プランを造成します。これは繁忙期・閑散期共に使えるテクニックで、1顧客あたりの単価を上げることができます。
お客様からのアンケートを読むと、2つの体験を同日に組み合わせることができるのか分からないから予約しなかった、というフィードバックが大変多いのです。初めから複数の体験が詰まった”商品C”ならばお客様は迷いなく選べますし、バラバラに買うよりも安くなりお得感も生まれます。事業者としてはキャンペーンにより収益率は下がっても収益額は上がります

このようにコンボ(抱き合わせ)戦略はお客様のニーズがある限りはただ単に割引を行うよりもまず試して欲しい方法です。

値引きによるデメリットも考慮しよう

即効性のある単純割引ですが、デメリットもあります。やはり、正規価格よりも値引きするということは利益率を低下させてしまいます。薄利多売になる覚悟が必要です。
お客様には支払った金額に関わらずサービス品質も担保しなくてはなりませんので、労働に対して得られる価値が低くなります。これはサービスを提供するスタッフ(特に正社員)のモチベーション低下に繋がります。また、語弊を恐れずに言うと、価格を重視して予約するお客様はクレームが多く優良顧客になりづらいと言われています。クーポン活用例を紹介した以下の記事でも書いたのですが、事業者のゴールは”リピーターを形成すること”です。割引キャンペーンで間口を広げ ⇒ 興味を持ってもらい ⇒ 実際に参加してリピーターへ というような循環を必ず用意しましょう。

クーポンを活用した新規・既存顧客への効果的なアプローチ方法

まとめ

当記事では単純割引の役割やNutmegでの設定方法、いくつかの応用編と注意点についてご案内しました。即効性があり、ついつい頼ってしまう割引キャンペーンは闇雲に行ってしまうと成果が見込みづらいものになります。目的を持ち、効果測定と共に実施していければ必要な時に無駄なく実施していくことができるようになります。デメリットも理解して、集客に弾みをつけましょう!

その他のキャンペーンについても今後個別に紹介していく予定です。