クーポンはECサイトでは非常によく使われるマーケティング手法です。現地体験型商品の事業者としてクーポンを活用した新規・既存顧客への効果的なアプローチ方法をご案内します。
クーポン、キャンペーン、ポイント 違いは何?
始めにクーポン、キャンペーン、ポイントの違いについてみていきましょう。
クーポンとキャンペーンは立ち位置としては似ています。どちらも新規・既存顧客両方に向けたPRの一環です。
一般的にクーポンの方が使用期限が長い場合が多く、最後の利用から時間が経過している休眠顧客の掘り起こしに向いています。キャンペーンはインパクトが大きく、即効性が高いことから、短期売上の向上が見込めます。
※サイトによっては「シークレットクーポン」のような呼び方で超短期間のキャンペーンをクーポンとして配布しています。このような場合はクーポンとキャンペーンの境目はあまりないとも言えます。
ポイントは新規よりも既存顧客の継続率を高めるために用いられることが多く、現地体験型商品ではあまり見られませんが、利用頻度の高いカテゴリ(例えばファンダイビングやミュージアムなど)ではリピートしてもらうための施策として有効でしょう。
クーポン | キャンペーン | ポイント | |
メインターゲット | 新規顧客 既存顧客(非アクティブ) | 新規顧客 既存顧客(アクティブ) | 既存顧客 |
目的 | 売上アップ(短・中期) | 売上アップ(短期) | 継続利用 |
クーポンを効果的に使って新規顧客を獲得する
メルマガやSNSと併用して新規顧客獲得に使う
クーポンの最もおすすめの使い方は新規顧客獲得を目的として設定することです。詳しくはまた別の記事でご案内したいと思いますが、新規のお客様1件あたりの価値を顧客獲得単価として捉える考え方があります。新規のお客様を獲得するために使うコスト(お金や時間)を抑え、リピーターに変えることが大切ということなのですが、クーポンは新規顧客獲得にピッタリなのです。
<クーポンが新規顧客獲得に適切な理由>
- 現地体験の参加対象期限を長く設定でき、お客様は予定を合わせやすい
- メルマガやSNSといった情報発信と共に紹介しやすい
参加対象期限を長く設定できる
キャンペーンでも同じことはできますがおすすめできません。理由は、キャンペーンとは一時的な”特別感”を出すものであり、長期間対象とすることに向いていないためです。
その点、クーポンは数週間~1か月など使用期限を設けることにお客様は違和感を持ちません。お客様は自分の予定に合わせて使えるので、現地体験初参加のきっかけになりやすいのです。
「1日限りタイムセール」というような形で超短期集中で予約を促すことももちろんできます。ただ、物販とは異なり現地体験は予約の意思決定までに時間がかかりますのでクーポンの期限には余裕がある方がいいでしょう。
情報発信ツールと共に使える
自社サイトの他に、Twitter、インスタグラム、LINE、FacebookといったSNSを使うことが多くなっています。こういったSNSメディアには新規顧客候補もアクセスしていますので、ここで情報発信+クーポン配布といった手法が取れます。うちではこんな体験ができますよ!という発信と一緒に参加のきっかけとなるクーポンを付けてまずは来ていただきます。
次回使えるクーポンを参加後にすぐに配信
クーポン戦略を多用する業種として美容院を例に考えてみましょう。美容院は競争率が激しく、大手クーポンサイトを使って常に新規顧客を集めています。美容院がお客様をリピーターに変えるために大切にしていることは一言でいえば「満足させる」ということになりますが、もう少し細分化するとこのようなステップを通っています。
- レビューやクーポンで新規顧客獲得
- カウンセリング、来店
- 次回のクーポンを用意
- DMや名刺(メッセージカード)、友達紹介割引などで再来店を促す
現地体験商品でも2回目の参加に繋げるためのクーポンは重要です。美容院とは異なり、現地体験は参加頻度が高くはありません。情報発信ツールでお客様との接点を保ち、クーポンやキャンペーンで参加を喚起します。
休眠顧客を掘り起こす
新規顧客と並んで、クーポン利用のもう一つの目的が休眠顧客の掘り起こしです。過去に現地体験に参加してくれたお客様にもう一度クーポンを使ってアプローチしてみると予想以上に参加してくれることがあります。現地体験は日常生活に密着したものではありませんので、どうしても忘れられてしまいがち。過去に参加したということは元々興味を持ってくれていた方々ですので、クーポンは再度参加してもらう良いきっかけになるというわけです。
シークレットクーポンで参加意欲を喚起する
お客様の最後の参加日からしばらく経過していれば最新の情報やキャンペーンなどを周知するツールとしてメルマガが選択肢になります。SNSは誰でも閲覧可能ですが、メルマガは特別な情報を送るツールとして有用で、大手オンライン旅行会社でも未だに使われています。
一度参加していただいているということは、少なくともサービスに何らかの興味を持ってくれたはず。例えば、お客様が興味を持たれた範囲を「食」「時間帯」「価格」などにカテゴリ分けしてそれぞれ違うシークレットクーポンを用意します。お客様の特性に合わせて(予想して)配布すると更に効果が実感できるようになります。
休眠顧客に刺さるタイミング
上記のようなアプローチを取るにはタイミングも大切です。配信は以下のいずれかのタイミングで行いましょう。
<シークレットクーポン配信のベストタイミング>
- 参加後半年、1年毎
- お誕生日
- 企業のイベント開催時
- 現地体験のベストシーズン到来時
アプローチの際にはクーポンによるお得感以外の参加したくなる訴求点を必ず入れるようにします。しばらく参加をしていないことには何らかの理由があるはず。前回参加された時との違いや新しいおすすめポイントを含めることが大切です。
メールマガジンの場合には開いてもらえないと始まりません。メール件名でお得感を全面に押し出すことは問題ありません。
優良顧客への追加サービスとして利用する
新規顧客獲得、休眠顧客顧客の掘り起こしはいずれも優良顧客すなわち”リピーター形成”が最終ゴールです。現時点で、リピーターと呼べるお客様がいれば、それらお客様に限定したクーポンの配布も検討しましょう。リピーターのお客様が離れてしまうことは最大の損失です。
日頃の感謝を伝える スペシャルクーポン
いつもご利用いただいているリピーターにはその他のお客様とは差別化したサービスが欲しいところ。ただ、そういった差別化をホームページで表記しすぎるとリピーター以外のお客様には良い印象を与えません。
リピーター限定クーポンなら、特別なメッセージを送れるため参加頻度を更に上げることができます。
このときに、リピーター顧客の中でもランク分けを行い、ランクに応じた特典を付与できるといいでしょう。ランク分けの目的はお客様の参加頻度をとにかく上げること。下記の例では、いずれもリピーター向けのクーポン施策ですが特典内容を変えています。大切なことは特典内容の良し悪しではなく、参加頻度を上げるために何が刺さるのかを考えることです。
リピーターランク | 利用頻度 | クーポン特典 |
ランク1 | 3か月に1回 | 器材無料メンテナンス、利用代金20%オフ |
ランク2 | 6か月に1回 | 利用代金15%オフ |
ランク3 | 12か月に1回 | 利用代金10%オフ |
クーポンは効果測定がしやすい
クーポンは配布元がSNSやメルマガなど決まっていますのでお客様が何を見て参加したのかデータが取りやすいのが特徴です。
例えば、メルマガでの配布は20%オフ、Twitterは1000円オフ、Facebookは無料アップグレードといった具合に、メディア毎に特典内容を変えて効果を図れるのもクーポンのメリットです。反応の良いクーポンを軸に色々と試してみると新規・既存共にお客様の利用数が上がり、将来のプロモーションプランを練る際にも役立ちます。
クーポン設定方法
Nutmegでクーポンを設定する場合には下記画像のように「プロモコード」を設定します。特定のお客様にだけキャンペーン(プロモーション)を適用することができるので、クーポンに応用が可能です。
違う商品同士で同じプロモコードを設定できる
現地体験商品を複数運営していてもNutmegでは同じクーポンを利用可能です。各商品に設定した割引率が自動計算されます。プロモコードが多くなりすぎると管理がしづらくなりますし、効果測定でも便利です。
例:
併用可能
商品A:PROMO
商品B:PROMO
商品単体または全体に適用するか選べる
プロモコードは商品毎/全体に適用するか選ぶことができます。これによりお客様へのアプローチ方法を柔軟に変えることが可能になります。
同じ商品で異なる条件設定ができる
同じ商品でも季節によってキャンペーン内容を変えるということができます。プロモコードは同じまま、設定した日付範囲の中で安い設定が反映されます。
例:
併用可能
商品A:SUMMER (8月)
商品A:SUMMER (8月、9月)
キャンペーンとクーポンは併用不可
Nutmegではキャンペーン(プロモーション機能と呼んでいます)とクーポンは併用ができません。同時期に重なる場合には、プロモコードを利用したクーポンが金額に関わらず優先されます。
契約先ごとにクーポンを発行する
Nutmegの特別な機能の一つに、契約する販売先(旅行会社、代理店、アフィリエイトパートナーなど)を区別してクーポンを設定することができます。
旅行会社 A社は団体旅行が強い、提携している旅ブログBは女性の利用が多いといったニーズ毎にクーポンコードを作ればご利用数の向上に繋がります。
まとめ
クーポンは新規・既存のお客様どちらへのアプローチとしての有効なマーケティング手法です。特に新規顧客獲得には効果が見込めます。SNSやメールマガジンといった情報発信と一緒に配布できると効果測定もしやすくなります。
既存のお客様の中でも長期間利用がない方に向けてクーポンで再利用を喚起することは有用です。キャンペーンとクーポンを上手く使いこなしてお客様の利用率を上げましょう。