口コミ体験談を投稿したことがある方ならば、投稿したはずのレビューがサイトに反映されていない!なんでだろう?と思われた経験が少なからずあるのではないでしょうか。
Nutmegの新機能である口コミ機能には、お客様からいただいた投稿に対して、公開・非公開を選択することができます。

公開するかしないか、選択肢は2つですが、この選択基準が難しく、悩んでしまう事業者様も多くいらっしゃいます。

当記事では、ケース別にお客様の口コミ投稿に対して公開をするのかしないのか、その判断基準や理由を説明していきます。この記事の読者様がNutmegの口コミ機能を使われていて、判断に悩んだ際には、参考になれば幸いです。

信頼があってこその口コミ効果

私達が普段なにかを購入する際に参考にする口コミですが、書いている方以上に、掲載しているウェブサイトが信頼できるのかどうかが大切です。

投稿者は一般人であり、多種多様な人がいますので全く同じ意見がないことは誰にも明らかです。
それよりも、掲載しているサイトが嘘偽りなく、お客様からの口コミを公表しているか、そういった観点で購入者は見ていることを認識しておく必要があります。

こう言ってしまうと、口コミ投稿をすべて公開すればいいという結論に聞こえてしまうかもしれませんが、大切なことは企業として公開すべきではない投稿とはどういったものなのか、しっかりと定義し、投稿者と向き合って対応していくことが求められます。

口コミ投稿の公開可否を決める定義の考え方についてお話します。

独自の公開基準を定めよう

事業者の規模が大きくなるにつれて、口コミ投稿を確認し、公開作業に関わるスタッフも増えていきます。その際にスタッフそれぞれの主観で判断していては、信頼されるサイトにしていくことはできません。誰が対応してもブレることのない基準をもつことで、お客様に対して等しく対応をすることができます。

基本は公開するべき

お客様からは様々な意見が寄せられ、中には事実は全く異なる投稿も出てくると思います。事業者の立場かるすると、お客様の勘違いによってマイナス評価を受けることは不本意だと思います。しかし、ピンチはチャンスと言います。口コミを公開しないことは簡単ですが、誤解があったならば、なぜ誤解が生まれてしまったのか、原因を考えることも大切です。

たとえ勘違いを含んだマイナス評価の口コミにも、原因に対して反省し、真摯に改善を試み姿を伝えることが、短期的なマイナス評価よりも、良い方向に傾くことがあります。

また、人間は良いことよりも悪いことに目が向いてしまう生き物です。投稿した口コミが掲載されていないことを知った投稿者自身は、きっと嫌な思いをされ、更に信頼を損ねてしまうかもしれません。負の連鎖は繋がっていきますので、口コミを隠すのではなく、公にすることが第一だと考えています。

許容できないものを公開する必要はない

しかし、中には事業者様のポリシーとして許容できないものもあると思います。大切な従業員を攻撃するような言葉、地域社会をないがしろにするようなコメントなどがそれにあたります。

こういったポリシーに反するものまで、無理に公開をする必要はありません。
投稿した方、事業者、そしてそれを読んでいる購入検討者がネガティブな気持ちにならないことも大切なお客様の心のケアだと思います。

このような公のサイトに公開しないと決めた投稿は、投稿者にメールなどで一言お伝えをするのがマナーです。

ケーススタディ ~公開編~

ここからは、お客様の口コミ投稿によくあるパターンをケーススタディとしてご紹介します。これらは最終的に「公開する」という結論になるケースです。

お客様の投稿内容と事実は異なるケース

最も多く発生し、判断を悩ませるのは、お客様のいわゆる勘違いによる悪い評価の投稿です。事業者としては、約束したサービスをしっかりと提供し、落ち度はないのに、お客様から批判されることはよく起こります。

とある国で催行されている、クルーズツアーに参加したお客様による投稿例をみてみましょう。


タイトル:サービスはよかったが、以前よりも品質が下がっていた
本文:前にひとりで参加し、そのときはとても満足したのに、今回家族とリピートしたら以前に比べて、ディナーメニューが減っており、価格は変わらず。実質サービスが悪化している。家族に同じ体験をしてもらいたく申し込んだのに大変ガッカリした。

このような事実とお客様の認識が違っていて、評価も良くなかったときには、公開をしたくないと思われるのは理解できるものです。しかし、このお客様のように、昔のサービス内容を基準にされている方は他にもいるかもしれません。これから予約をされるお客様のためにも、こういった口コミ投稿はあえて公開して、事実をコメントで補足するのが正解です。


<コメント返信例>この度はコメント投稿のお時間をいただきありがとうございます。リピートを頂いたにも関わらずご満足頂く事が出来なかったこと、深くお詫びいたします。2年前までは、デザートを2種類からお選びいただけましたが、現在はシェフがおすすめする季節のデザート1種類のみへ変更しております。変わりに、メインのメニューに関しては直材の仕入れ先を変え、より新鮮な食材を使ったものにグレードアップをしております。次回ご参加を頂いた際にはご家族で満足頂けるツアーをご提供したいとスタッフ一同願っております。

ネガティブコメントを逆手に取り、自社の強みをアピールしましょう!

悪天候によるキャンセルに立腹してネガティブコメントを投稿したケース(体験に参加していないケース)

屋外で行う現地体験は天候の影響を受けます。お客様の安全のためには、悪天候時にやむなくキャンセルすることもあります。殆どの場合はキャンセルに対して理解を示していただけますが、中には苦言を呈するお客様もいます。

同じくクルーズを例にしてみてみましょう。


タイトル:悪天候でキャンセルに。前日に言われて予定が狂った!
本文:クルーズが大好きな父のために、このツアーを申し込みました。楽しみにしていたのに悪天候になり前日の夕方に電話でキャンセルと伝えられ・・・明日の予定が台無しに。今からどうやってプランすればいいというのでしょうか?

このお客様は、悪天候になったことに対して指摘しているのではなく、前日という間際に決定したことが納得できなかったのでしょう。天候は誰にもコントロールできませんし、仕方がないじゃないかと思われるかもしれませんが、お客様にとっては旅先での1日は大変重たい意味を持ちます。このようなケースは屋外のツアーを実施しているならばずっとつきまとう問題です。口コミ投稿を削除するのではなく、こういったリスクもあることを伝える機会としてコメントを利用しましょう。


<コメント返信例>ツアーのキャンセル連絡が間際になってしまったこと、心よりお詫び申し上げます。シドニー湾沖合の天候は天気予報でも予想が難しく、衛生による予想を毎時間担当スタッフが確認しております。この日は、ご連絡をした2時間前に高波の予兆が見えたため、苦渋の決断として中止を決定いたしました。今回乗船予定のお客様へは、全額返金に加え、次回無料で乗船いただけるクーポンを配布させていただきます。またお越しいただく機会をちょうだいできれば幸いです。

悪天候はよくあることだから・・・と諦めるのではなく、限界まで努力をして安全面を重視していることが伝えるなどが大切です。

目当ての景色や野生動物が見られなかったケース

先程の天候と似ていますが、景色もよく見れる日と曇ってしまって期待に沿わない日があります。
ウミガメやイルカのような動物に会えることをうたっているアクティビティも、100%見られるという保証は誰にもできません。

お目当てのものが見れなかったのに、高額な料金を支払っていれば、不満に思われるのも理解できますね。ネガティブな口コミ投稿が入るのは仕方がありません。ここでも、天気や動物は保証ができないから公開しないのではなく、口コミ投稿を見ている他のお客様に向けてメッセージを発信しましょう


タイトル:見れませんでした。
本文:イルカを見るために申し込んだのに1匹も見ることができませんでした。船長は「この時期は見つけることが難しいんだよね」と話していましたが、それならなぜこの時期にツアーを行っているのでしょうか?

<コメント返信例>楽しみにされていてイルカをお見せすることができず残念に思っています。台風も生まれるこの時期には、危険を察知したイルカが普段の海域から避難するなどして見れないことがありますが、決して遭遇率が他の季節に比べて低いということはありません。海流を分析しながら、遭遇率を上げるように日々尽力をしておりますので、次回にまたチャレンジしていただけると幸いです。イルカを見ることができなかった場合には、現地集合のみにはなりますが無料チャレンジが可能になっています。

ケーススタディ ~非公開編~

口コミ投稿は基本的に公開をする。これが原則ですが、中には公開できないものもあります。事業者によりこの基準は異なりますが、目安になりそうなケースをご紹介します。こちらは参考としていただき、自社のケースに当てはめて独自の判断基準に昇華していただきたいと思います。

最終的には、非公開にする基準を決めるだけでなく、お客様とコミュニケーションを取って公開できる内容に書き直しをしてもらうことが理想です。

特定の人物を避難するケース

ガイドやドライバーなど特定の人物を攻撃するような口コミ投稿をされる方がいます。お客様も大切ですが、従業員も同じく大切な存在です。もしかしたら本当にお客様に対して悪い態度で接したのかもしれませんが、それは当事者間の問題であり、第三者が読む口コミという形で公表すべきものではありません。SNSでもこういった人物を悪く言うことによる影響の大きさがしばしば問題になりますね。

自社のスタッフを名指しするような情報が投稿された場合は、削除した上でお客様に対して削除の理由と対策、書き直しの提案をするようにしましょう
実名を指摘することは許容できません。しかし、スタッフの品質に問題がある、という投稿自体は削除すべきものではありません。書き方さえ変えていただければ投稿を公開することができます。


お客様へのご連絡メール例:投稿いただいた体験談を拝見し連絡をさせていただいています。当日担当した弊社スタッフのご案内態度に問題があったとのこと、重く受け止めています。該当スタッフには改めてお客様との接し方の研修を実施し、管理者の元で当面の間厳しく勤務状況を管理し改善をしていきます。なお、ご投稿いただいた口コミは「スタッフの実名」を含めているため非公開としています。状況に関わらず弊社では実名公表を不可としていることご承知ください。実名を伏せ、スタッフの品質をご指摘いただく口コミ投稿は非公開とはなりません。お手数とは存じますが、口コミ掲載をご希望の場合には、実名掲載以外の内容をご検討ください。

差別と捉えられるケース

いかなる場合にも、参加者・スタッフの容姿、性格、服装、人種などを否定することは許されません。
投稿者にとっては、軽い気持ちで悪意もなく書いた文章が、読んでいるお客様を傷つけることもあります。
事業者はそういったところまで配慮をしなくてはなりません。倫理観を全スタッフ同じようにすることは難しいものですので、社内ルールを作るのが簡単でしょう。

例:
・外見、性格、服装などへのネガティブな指摘が含まれた投稿は削除する ※ポジティブなものは可
・国名をあげて非難する内容は不可
・性別によるハンディキャップを指摘する内容は不可

などです。
ここでもお客様にメールなどで削除の理由を説明し、書き直しを依頼しましょう。

評価点数の付け間違い

評価点数とは、星の数のことを指しています。
Nutmegではお客様に伝わりやすいように、1つ星~5つ星を使った5段階評価で口コミ投稿を行える仕組みです。1つ星が最低評価で5つ星が最高評価と分かるように記載をしていますが、間違えて真逆を選択してまうことがあります。

書いてある内容はとても良いのに、評価は最低・・。こんなときには付け間違いを疑い、お客様に連絡をしましょう。お手間を取らせてはしまいますが、間違いだと分かれば書き直しをしていただけるはずです。

会社の考えや価値観をスタッフに共有することが大切

口コミ投稿を特に非公開にする判断はルール化することがおすすめだと話しましたが、ケーススタディで紹介したケース以外の投稿もどんどん増えていくでしょう。
何が正しく、間違っているのか初期判断を行うのは常にスタッフです。運営者はスタッフに会社としての考え方、価値観を常に共有し、イレギュラーな投稿に対してもできる限り正しい判断ができるように備えていくことが必要です。

まとめ

口コミ投稿は評価が良くても悪くても、基本的には「公開」をして、時には企業としての姿勢をコメント返信で見せることで、信頼を積み重ねて予約へと繋げていく仕組みです。

口コミを集め始めたばかりの段階や慣れないときには、思わす「非公開」を選んでしまいがちですが、それは逆にお客様の信頼を失う行為。判断が難しい案件はケーススタディを参考にしながら、自社でも定性的に意見を取りまとめてスタッフへ考え方や価値共有を続け、悪い口コミさえも信頼に繋げる足掛かりとする、そんな運営を目指していただきたいと思います。