ツアーやアクティビティの現地体験商品に限らず、ホテルやモノを販売するお店でも「サイトコントローラー」を活用している企業は多くあります。本記事では、さまざまな業種で使われているサイトコントローラーについて、その働きを解説します。

販路が増えることによる問題点

モノを売る事業者様の場合、BaseやShopifyなどを使って、インターネット上に自分のお店を構えている事業者様が多くいらっしゃいます。また、それと同時に、amazon・楽天・Yahoo!ショッピングなどにも出店して商品を販売していることもあります。もちろん、実店舗で実際にお客様への対面販売も行なってもいるので多くの販売チャネルがあります。

ホテルでも同様で、自社HPの予約受付に加えて、じゃらんnet・楽天トラベル・Booking.comなどの宿泊予約サービスからの予約と複数の予約経路があります。現地体験事業の場合にはViatorやVELTRAからの予約と、自社HPの予約という形と同じです。

物販であれば楽天・Yahoo!ショッピング、ホテルのじゃらんnet・楽天トラベルなど、それぞれに出店者向けの管理サイトが提供されていて、それぞれの画面から商材や在庫の設定を行えるようになっています。もちろん、各管理サイトには便利で使いやすい画面や機能が提供されているのですが、これは各サイト向けの管理画面なので、複数サイトに出店しているとさまざまな問題が出てきてしまうのです。

オーバーブッキング

全部で10部屋あり、じゃらんnetと楽天トラベルから予約を受け付けている旅館を例に考えてみましょう。じゃらんnet・楽天トラベルの各管理サイトから在庫をそれぞれ 10 で登録した場合、両サイトから1日に10件の予約まで受け付けることができるようになります。そうすると、1日に最大で20件の予約が申し込まれてしまいオーバーブッキングが発生してしまいます。個別の管理サイトで在庫を管理していると、オーバーブッキングを防ぐためには、予約が入るたびにそれぞれのサイトに登録してある在庫数を調整しなければならなくなってしまいます。

機会損失

また、オーバーブッキングにならないように、各サイトには在庫を5ずつ設定した場合、一方では予約受付中、もう一方では5件の予約が入ったため販売停止、という状態になってしまいます。実際には空きはある状態なのに、販売停止となっているサイトに来たお客様は予約ができないので機会損失にもなってしまいます。

各管理サイトで予約確認

各サイトから申し込まれた予約はそれぞれの管理サイトで参照できるので、ある1日の予約を確認するには、それぞれにログインしなければいけません。毎日行う確認作業にもかかわらず、複数の管理サイトを見ないと全体の予約がわからない状況はとても不便ですよね。

このようなさまざまな問題を解決してくれるのが「サイトコントローラー」です。

サイトコントローラーの役割

サイトコントローラーがない場合とある場合を簡単な図にすると以下のようになります。

サイトコントローラーの立ち位置

サイトコントローラーがない場合、各予約サイトの管理画面を直接見に行かなければいけません。そのため、在庫設定や予約の確認も各管理画面へのログインが必要になります。

サイトコントローラーは各予約サイトとシステムがつながっていて、在庫・予約の情報が連携されるので、事業者様はサイトコントローラーから在庫の設定・予約の確認ができるようになります。

在庫連携

上の図の通り、サイトコントローラーと各予約サイトがシステムで連携していると、サイトコントローラーに登録してある在庫情報を各予約サイトが参照できるようになります。お客様が予約を申し込む際にも、その時点で空きがあることをサイトコントローラーに確認してから予約の申し込みが完了します。空きがなければ当然予約できないので、オーバーブッキングが発生することもありません。サイトコントローラーの1箇所だけで複数の予約サイトの在庫管理ができるようになり、管理の手間が省けます。

同じ在庫を共有

基本的には、サイトコントローラーに登録されている同じ在庫情報を各予約サイトが参照するので、一方の予約サイトでは予約受付中なのに他方では受付を停止している、という状態にもならないです。特別な管理などは不要で、どの予約サイトでも同じように予約ができる状態でお客様をお迎えできます。
もちろん、個別のサイトの管理画面から特定の日を販売停止にしたり、サイトコントローラー側から、特定のサイトとは連携しないようにすることもできるようになっているので、細かな対応も可能です。

予約情報をまとめて表示

在庫情報はサイトコントローラーから各予約サイトへ連携されますが、予約情報は各予約サイトからサイトコントローラーに連携されます。各予約サイトから連携されてくるので、サイトコントローラーのシステム内にて各予約サイトの予約状況が一覧で確認できるようになっています。各予約サイトの管理画面で予約をそれぞれ確認する手間はありません。

サイトコントローラ毎の違い

サイトコントローラーの役割は大きくいうと「在庫」と「予約」の連携ですが、「サイトコントローラー」の機能を提供するシステムは多くあり、それぞれに特徴や違いがあります。現地体験商品の予約に関して言うと、「リクエスト」予約に対応できなかったり、予約情報の変更ではなく、キャンセル・再予約として登録されたりします。これはサイトコントローラーと各予約サイト間でできることが違ってくるためです。

まとめ

「サイトコントローラー」という言葉は聞いたことがあったけど、どんなモノか・何をしてくれるのか、いまいちよくわからなかった、という方も多いのではないでしょうか?一言で言うと、各予約サイトの在庫・予約をコントロール(制御)するための仕組みで、複数サイトでの商品の販売・管理を楽にしてくれる機能です。商品への予約は専用の予約サイトだけでしか受け付けてない、と言う場合にはあまり役に立たないかもしれませんが、OTAにも商品を掲載する場合には、効率良く各サイトの在庫・予約の管理が行えるようになりますよ。