サイトの訪問者分析を行い、集客やサイト内の回遊などを分析してきました。初級編の最後は、いよいよ核心にせまる予約率の分析をご紹介します。

サイト訪問者の分析がまだの方は、こちらを先に見てくださいね。

Googleアナリティクス初級編 Part2(サイト訪問者の分析)はこちら

予約率分析の意味

予約サイトの運営にとって、集客と同じくらい大事なのが予約率です。なぜこの予約率が大事なのでしょうか?

それは実際の予約だけを見ていては、それが良い状態なのか悪い状態なのか見えてこないからです。

まずは予約率分析を行う意義や用語を解説していきます。

コンバージョンとは

一般的に、サイト上で予約を行うことを「コンバージョン」(CV)と呼びます。このコンバージョンというのは、ユーザーが特定の何かの目的を達成した時に使うものと捉えれば大丈夫です。

なお、一般的なWebサイトではお問い合わせや資料ダウンロードをCVとして捉えることも多くあります。ただ、予約サイトの一番の目的は、もちろん予約をしてもらうことです。したがって、予約=特定の目的と捉えて分析をしてきましょう。

予約サイト運営の根幹となる予約率

このコンバージョンの数を追いかけていくことが、予約サイト運営の根幹とも言えます。ただ実際のCV数だけを追っていてもそれが良いかどうか見えてきません

そこで予約数を訪問者数で割った予約率を使って、予約がしっかり行われているか確認する必要がでてくるのです。

予約率 = 予約数(CV) ÷ 訪問者数(ユーザー) 

この予約率を分析して対応することで、予約サイトにおける予約数の増加に繋げることができます。

最終的に予約まで誘導出来ているか

では予約率はどのように考えれば良いのでしょうか?予約率を見ることで、サイトへ訪問したユーザーを最後まで予約まで誘導しているか俯瞰的に見ることができるのです。

例えば訪問者が多くても、予約率が低ければ、最後の予約まで繋がらずどこかで離脱していることになります。逆に予約率が高ければ、訪問者が少なくても、最後の予約までしっかり誘導できていることが分かりますね。

この予約率を高めるために、しっかりと分析として対策を行いましょう。

予約率の確認ポイント

実際の予約率をGoogleアナリティクスから見る場合は、いくつか注意事項があります。この注意事項を忘れてしまうと、数値を見ても全く違う意味合いになってしまいます。

しっかりとGoogleアナリティクス上で見れるコンバージョンと予約率の分析ができるように、ポイントを理解して慣れましょう。

予約日ベースの情報

Googleアナリティクス上で見れるのは、ユーザーが「いつ予約」したという情報です。したがって、すべて予約日ベースの情報になっていることに注意してください。

逆に参加日がいつだとか、リードタイム(予約日から参加日までどのくらいの日数があるか)は見れないため、別途自分自身で確認していく必要があります。

Nutmegではマイページから見れる予約情報に予約日と時間があるため、簡単にリードタイムも計算できますよ。詳しくは別の記事で紹介予定です。

申込み=コンバージョンと捉える

Googleアナリティクス上のコンバージョンは、予約サイト上で申込みが完了したことを示すものになっています。

したがって、予約が確定していない「リクエスト予約」もコンバージョンとしてカウントされていることに注意してください。

実際はお客様が予約したいと思って申込みを行っていますので、結果に関わらず「申込み=コンバージョン」と捉えて予約率を分析するのが目的に沿っていますよね。

キャンセル等は反映されない

Googleアナリティクスでは、予約時点の情報だけを取っているため、予約後にどうなったかは反映されません

したがって、予約後に予約が確定されたか、キャンセルなどされたかは確認できないことに注意してください。

この予約確定がされたか、キャンセルがされたかは、アクセス解析というよりは、別のオペレーション的な分析を行うことで対応することができますよ。詳細は今後のアカデミーの別記事でご紹介予定です。

eコマース機能

注意事項がしっかり理解できたら、具体的な分析に移りましょう。

コンバージョンと予約率の分析を行うには、Googleアナリティクスにある「eコマース機能」を使うと簡単に計測して分析が行えます。

本記事では最新のGA4を前提に紹介をしていますので、もしユニバーサルアナリティクスを使っている場合は、一般的な設定方法や別のサイトを参照ください。

Googleアナリティクス上で直接見れる

一般的にGoogleアナリティクス上でコンバージョンを計測するためには、複雑な計測タグを入れる必要があります。

しかし、Nutmegの予約サイトを使っている場合は、特殊な設定をせずともGoogleアナリティクス上でコンバージョンを計測して見ることが出来てしまうのです。

具体的には収益化タブの「概要」と「eコマース購入数」からそれぞれ見ることができますよ。詳しくは以下にて解説していきます。

なお、独自ドメインを使ってる場合は、別途クロスドメイントラッキングという設定が必要になるため、こちらは中級編で説明予定です。もし先に自分で設定方法を調べたい方は、こちらを参照ください。

全体の予約率を確認

Googleアナリティクスの「収益化」から「概要」を選ぶことで、コンバージョンに関する情報を見ることができます。画面イメージは以下の通りです。

収益

このセクションは、一定期間内のコンバージョンに係る合計金額を見ることができます。日別の推移も見れるため、時系列的に分析が行えるのが使い勝手が良いですよね。

購入者数

このセクションは、一定期間の中何人のユーザーが購入したかを表してくれます。合計だけではなく、初回購入ユーザーがどのくらいいたかも見れるので、購入のリピーターがどのくらいの割合か見ることもできますよ。

ユーザーあたりの平均購入収益額

このセクションは、一定期間の中の平均予約単価を見ることができます。1回の申込みあたりに、どのくらいの単価になっているのか見えるので、とても分かりやすいですね。

なお金額の表示は、Googleアナリティクスを作る際に設定した通貨になるため注意ください。

注意点

サイト全体として数値を捉えて見ているため、商品の特性や内容、個別の販促やキャンペーンは除外して考えることが大事になります。

サイト全体のCVを上げるためにも、共通して取り組めることがないか検討していくことが大事になりますよ。

予約された商品の詳細

全体の予約率や傾向が分かった後は、商品別のコンバージョンを見ていきましょう。「収益化」から「eコマースの購入数」にいくことで確認できますよ。

一覧の表示

このページでは、各商品ごとにどのくらいコンバージョンがあったかを一覧で見ることができます。加えて指定された期間で時系列に見ることや、平均単価でどの商品がどうなってるか直感的に見ることもできますよ。

中身の見方

全体の数値に加えて、各商品ごとにCVの詳細を見ることができます。

ここではページビュー(PV)に基づく予約率が最初から表示されてるので、別途予約率を計算する必要はありません。ただしユーザーベースの予約率ではないため、注意が必要です。
※サイト全体は主にユーザー数を使った予約率、個別商品はPV数を使った予約率が分析に適しています。

この表の中で主に見る点は以下のとおりです。

  • eコマースの購入数:何人のユーザーが予約したか
  • 表示後購入された商品の割合:PVベースの予約率
  • 商品の購入数量:予約された人数の合計(大人2人:2と表示、大人1人+子供2人:3と表示)
  • アイテムの収益:平均の予約単価

各商品ごとに数値を見て、商品別の違いをしっかり把握しましょう。

課題の抽出と対応策の企画

コンバージョンや予約率が確認できたら、忘れてはいけない課題の抽出と対応策の企画です。単に数値を見るだけでは改善につながらないため、特にここに力をいれましょう

対応の優先順位

分析の結果、課題を抽出したり改善策を行うには、効果を考慮して対応の優先順位をつけましょう。

特に商品ごとのCVや予約率に目がいきがちなのですが、木を見て森を見ずでは抜本的な改善は行なえません。どんなに個別商品のCVがあがっても、サイト全体で最適化されないといたちごっこになってしまうのです。

サイト全体の課題と対策 > 商品個別の課題と対策

まずはサイト全体の最適化を行い、ここが完了したら個別商品ごとの予約率の最適化に取り組みましょう。

全体的な課題と対策

予約サイト全体のコンバージョン数や予約率が低い場合は、抜本的な対策が必要です。

つまり、一定のサイト訪問者数がいるのも関わらず、どの商品をとっても予約されないとなると、予約サイトそのものに問題がある場合があるからです。

以下で主に確認したい点を紹介しますので、当てはまるものがないか確認してください。

予約導線を作っているか

各ページが見られているのに、最後に予約に繋がっていないケースはカート追加の分析で行うことができます。実際に予約フォームまで行ったのか、それともフォームまで行かず離脱しているかで大きく変わるからです。

具体的には、「エンゲージメント」の「ページとスクリーン」で、予約フォームがどのくらい表示されているか見ることができますよ。

この予約フォームの表示数が、全体のPVの中における比率が低い場合は対策が必要です。こういった場合は、更に以下で紹介する方法を確認しましょう。

分かりやすくカレンダーを表示しているか

サイト上で予約の導線が分かりづらく、予約フォームまでたどり着けないお客様がいるかもしれません。特にモバイルは予約ボタン見失いやすいため、できれば常に表示するぐらいの工夫が必要です。

申し込める日はあるのか

カートへの追加がされない=予約フォームまでいかない原因の1つは、そもそも申し込める日がないケースがあることです。

予約サイト上で正しく予約を受けられるようになっているか、改めて確認しましょう。

申し込める日がない場合
即予約確定になっているか

予約フォームに行ってくれない別の原因は、実はリクエスト予約にもあります。ユーザーの心理としては、申し込んだその場で予約が確定する方が便利なものです。

こういった時は、商品全体として即予約確定ができるように設定することで予約率を高めることができます。

即予約確定のおすすめ理由はこちらを確認してください。

予約フォームの分析

一定のユーザーが予約フォームまで表示している場合は、予約をしようと試みていることが分かります。

それにも関わらず、最後の予約に繋がっていない場合は、予約フォーム上に別の原因があると考えるべきですよね。主な予約フォーム上での離脱原因は以下の通りです。思い当たるものがないか見てください。

  • 完了までのステップが長すぎる(使いにくい)
  • 予約フォームに入力する情報が多い(時間がかかる)
  • 最後まで合計金額がはっきりしない(早い段階で予算内かどうか見たい)
  • 別途税金やサービス料がかかることが分かった(思わぬ費用で高く感じる)
  • オンライン決済ができない(現地払いを行いたくない)
  • サイトが信頼できない(カード情報を入れたくない)
  • キャンセルポリシーが厳しい(後からキャンセルや変更しにくい)

もし複数の項目で該当するものがある場合は、予約フォーム全体や表示方法自体を見直しましょう。

Nutmegの提供する予約フォームは、予約をしやすいように最適化されていますので、安心して使っていただけますよ。

商品別の課題と対策

全体的なコンバージョン数や予約率に問題がない場合は、続いて個別商品の対策に移ります。ここでは商品ごとに差が出てくるため、より効率的なアプローチをご紹介します。

予約率が高い商品を分析

商品別に対策するには、ずばり予約率が高い商品を分析するところから始まるのが効果的です。なぜこの商品だけ予約率が高くなったのか、原因を考えてみましょう

個別商品となると、予約サイトの仕組みというよりは、商品企画や販促が関係しているケースがほとんどです。主に確認したい点は以下の通りです。

  • 魅力的な限定の商品かどうか
  • 商品タイトルや内容が魅力的になっているか
  • 販促やキャンペーンを行っているかどうか
  • 予約できる日がしっかりあるか
  • 即予約確定かどうか

予約率が低い商品を分析

予約率が高い商品が分析できたら、次は予約率が低い商品を分析しましょう。見るべきポイントは、先程予約率が高い商品で分析した点と同様です。

それぞれの項目を、予約率が高い商品と比較しながら改善が実行できるかの観点で見るのが大切になります。例えば予約率が高い商品が期間限定の特別なものだったり、季節限定の大幅なセールなどやっていたら再現性がありません。

  • 魅力的な限定の商品かどうか -> 通常商品の枠組みで付加価値を出せるか考える
  • 商品タイトルや内容が魅力的になっているか -> コンテンツの最適化を行う
  • 販促やキャンペーンを行っているかどうか -> 販促を出来る範囲で検討する
  • 予約できる日がしっかりあるか -> 催行日が正しく設定されているか確認する
  • 即予約確定かどうか -> 自社予約サイトだけでも在庫の設定ができるか検討する

比較の注意点

予約率が高い商品を参考に、低い商品の改善をする効率的なアプローチを紹介しました。ここで注意したいのは、対象となる商品を1つだけ取って比較をしてしまうことです。

可能なら最低でも2~3個のグループを作り、なぜそのグループの予約率が高かったのか、なぜそのグループの予約率が低かったのかを比較して意味合いを抽出することが大事になります。

より具体的な比較方法は中級編以降でご紹介予定です。楽しみにしてください。

まとめ

予約サイトの予約率の分析はいかがでしたでしょうか?

Googleアナリティクスを使うと、より簡単にこの分析ができるため、訪問者の分析とセットで今日から取り組むことをおすすめします。

Nutmegならeコマース機能の複雑な設定なく最初から使えるので、手間もかかりません。

Googleアナリティクスを使ったアクセス解析の初級編はこの記事で終了です。今後は一歩進んだ中級編の記事を紹介していきますので、アクセス解析に慣れた後は是非そちらもご覧ください。