旅行企画というものは、旅行会社の中でも花形業務であり、企画部門に携われるのは一握りの社員だけです。旅行商品を企画するのは、旅行会社に限ったことではありません。タビナカを担うツアー・アクティビティの事業者も、直販のお客様のために常に新しい企画を考え実行しなくてはなりません。

しかし、アイデアが無限大に出る人ならともかく、普通は行き詰まってしまうもの。この記事では、「売れる」旅行の企画を作るための答えとして、体験談(口コミ投稿)を使った方法をご紹介します。

体験談はアイデアの宝庫

体験談と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、星の数で表示される満足度や、購入者の実体験が書かれたコメントだと思います。
広告では本当の価値が分からないため、利用者によるクチコミを購入の判断にする。
これが体験談の第一の目的です。お客様がお客様のために情報を提供している投稿がある一方で、利用者が販売者に対して何らかの要望やクレームを投稿しているものもあります。

要望やクレーム、こういった意見の中には新しい企画の種が眠っています

旅行のヒット商品はお客様からのコメントから生まれる

セブンイレブンの創業者である鈴木敏文さんが著書の中で「お客様のために」ではなく「お客様の立場で」考えることの大切さを書かれています。
これは旅行商品を企画する旅行会社・事業者、システム設計を行うNutmegにも適用できる格言です。

他社よりも「売れる」旅行商品を企画しようと思ったら、これはお客様が喜ぶだろうから旅程に入れようといった考えでは良い企画は出来上がりません。大切なのは、自分がお客様ならどうなのかといった視点や、実際に利用してくれたお客様からの要望に耳を傾けることです

お客様の視点で物事を考えることは大切ですが、やはりバイアスを生まれます。
体験談には、色々なタイプのお客様の意見が入り乱れて投稿されます。良い意見もあれば悪い意見もあります。まさに、お客様の立場で考えるにはピッタリのツールです。

クレームはチャンス

接客やサービス業の経験がある方ならば、クレームとチャンスは表裏一体であることは感じていらっしゃると思います。

ミスをしてしまい、怒らせてしまったお客様に真摯な対応を行い続けた結果、許してくれたばかりか、商品の購入を繰り返してくれる熱烈なファンになってくれたという話しはたくさんあります。

お客様がお怒りになった原因は、期待して購入した商品やサービスと、実際の差分が大きかったからと言えます。(もちろんそれ以外の理由もあるとは思いますが)
ここで行うべきは、謝罪だけでなくどうやったら満足してもらえたのか原因を徹底的に考えることです。そうすると、今よりももっと魅力的な旅行商品や付加価値のアイデアが浮かんでくることがあります。

”アンケート”では不十分

お客様の意見を集めるツールにアンケートがあります。
今でも、現地での体験後にアンケートをお願いすることもあると思いますし、無駄な作業ではないと思いますが、満足していないお客様ほどアンケートには協力してもらえないことを認識しておく必要があります。

ガッカリに感じているお客様は、一刻も早く帰りたいと思っていますし、面と向かって不満な気持ちをぶつけたいとも思っていません。

前述した通り、満足していないお客様の意見の中にこそ、改善のためのメッセージが隠されており、そういった意見はアンケートで得ることは難しいです。お客様の意見を真剣に聞きたいと考えているならば、体験談以上のツールはないでしょう。

体験談から商品企画へのステップ①

ここからは体験談を商品企画へ活用する具体的方法をご紹介します。

投稿を集めてみる

はじめは投稿を一つの表に集めることから始めます。最初から商品企画のアイデアを探したり考えたりすることはやめましょう!色々なお客様の意見を集めて、全体的に見ていくと、後からアイデアが浮かんでくることも多々あります。

表に集める際は、フォーマットに指定はありませんが下図のようにまとめていくのがおすすめです。

投稿を集める際には、3点抑えておくといいポイントがあります。

1.お客様の評価は気にしない

1つ目は、お客様による星の数(一つ星や五つ星)は考慮しないということです。
口コミ投稿の多くは主観的な感想でできていますので、評価点も絶対的なものではありません。
大切なことは、最高評価(または最低評価)をつけたお客様がなぜそう感じたのか、といった要点を見極めて集めていくことです。

2.カテゴリを意識する

投稿を集めるときに、大まかで構いませんので「何について」の評価なのかを考えておくと、この後の分析がやりやすくなります。
例えば、”ガイドに関して”良い(悪い)と言っている、”天気について”良い(悪い)と言っている、などです。
サービスを改善するときに、どこに手を加えるのかが分かりやすくなります。

3.間接的に評価に影響を与えているポイントを探す

投稿の中には、直接的に評価には関係していないものの、間接的に影響しているようなコメントが書かれていることがあります。

例えば、”ガイドさんはとても感じがよく楽しい時間を過ごせたが、移動車両の中の温度は少し寒かった”というようなものです。
これだけで評価が下がるほどの影響はないものの、少しお客様には気になったようなコメントもできるだけ拾い上げて、集計していけると新しい旅行企画の参考になる場合があります。

他社のお客様の体験談投稿も参考にする

自社の商品企画なので、基本は自社のお客様による体験談投稿が最も信頼できるソースです。
ただ、自社の体験談は投稿数に限界がありますので、サンプル数として十分ではないことがあります。そういったときには、他社のお客様の体験談も分析の対象とするのも一つの手です

例えば、貴社がシュノーケルツアーを催行しているなら、同じような条件のシュノーケルを催行している企業や予約サイトの口コミを分析対象にしてしまうのです。
会社は違えど、現地体験のカテゴリが類似していれば、お客様の要望やクレームも共通した課題が投稿される可能性が高く、商品企画への参考になります。

この方法ならば、まったくコストをかけることなく、大量の要望を集めることができます。

験談から商品企画へのステップ②

集めた投稿をカテゴライズする

体験談の投稿をある程度集めたら、商品企画に落とし込むための準備に入ります。
まず、一度集めた集計表を「カテゴリ」で分け、トピックを割り振ります
この際、下図のようにお客様のコメントを良い・悪いで数えてみると、便利です。悪いコメントが多いカテゴリは特に改善の余地が大きく、その分商品企画へ繋げやすいです。

要点をまとめる

それぞれのカテゴリに対するお客様からのコメントを1~3つ程度に要約しましょう。
集計表には様々な意見が集められていると思いますので、改めて読み込んで分類します。こうすることで、お客様が何を求めているのかが、見えてくるはずです。

改善案を考える

お客様の要望に対して、何ができるのか考えます。満足していただけていないポイントを改善できるようなアイデアを考えることが大切です

上の図を例にして考えてみます。

お客様はツアーガイドの「観光地に対する専門知識」に満足している方もいれば、不満に思っている方もいるようです。
その理由として、「ガイドに質問をする時間がなかった」ことを不満に思われているようです。
つまり、もっとガイドとのコミュニケーションが取れるように内容を変えたり、少人数制での催行を企画するとこういったお客様のニーズを埋めることができそうです。

改善案がすぐに商品化に繋がることもありますが、色々な改善の可能性がありますので、考えられる限りアイデアを出していきましょう。

験談から商品企画へのステップ③

改善案を商品化へ

お客様の要望をまとめ、改善策を検討していくと、商品企画への道筋が見えてきます。

さきほど例の続きですが、「観光地に対する専門知識」への要望に着目して、要望をまとめ、改善策を考えた結果、”少人数制での催行”を試してみることになったとします。

少人数制での催行とは、具体的にどのようにするのでしょうか?
・価格は上がるが、ツアーガイドとのマンツーマン(貸し切り)ができるようにする
・参加料金が10%上がるが、1グループあたりの人数を最大5名までにして、ガイドとお客様がコミュニケーションを取りやすい環境にする

ここまで検討できれば、あとはトライ&エラーです。
Nutmegで商品ページを作成して、実際に販売し、試してみましょう!

まとめ

毎年同じ商品を売り続けていても、お客様は飽きてしまいます。新しい企画を考える際に、ゼロから考えるのは大変な労力が必要で、またお客様の意見を参考にせずに考える企画ではお客様を満足させることはできません。

体験談の投稿には、お客様から要望やクレームが含まれています。こういった意見の中にこそ、改善案、つまりより良い商品にするためのアイデアが詰まっています。

自社/他社の口コミ投稿を読み、集め、分析して、改善策を考えることが付加価値になり、売り上げを支える柱になります。

自社サイトに体験談機能があれば、新しい商品企画も他社よりも早いスピードでどんどんチャレンジしていくことができるはずです!Nutmegでは有料で体験談機能を使用することができますので、試していただければと思います。