私たち旅行業会関係者が意識せずに使っている送迎という概念も一般のお客様には伝わらないことがあります。お客様のためにと行っている送迎が逆に足枷になっているという事例もあります。この記事では、予約サイトの運営するにあたり、気を付けておくべき送迎のポイント、実際の事例から見る改善案の提案をいたします。

現地体験における送迎について

事業者にとって送迎は、安全に楽しく参加していただくための付加価値と言えます。現地体験の送迎には大きくわけて以下3パターンが存在します。このいずれにも該当しない場合には現地集合という方法をお客様に案内するのが通例です。

・ホテルなどの宿泊施設からの送迎(往復や片道)
・空港と宿泊施設間の送迎
・指定場所への送迎(宿泊施設以外のランドマークや駅前など)

旅の自由化が及ぼす送迎への影響

送迎には提供する現地体験の旅程(タイムスケジュール)をコントロールする役割も果たしています。見知らぬ土地に滞在しているお客様にとっては、宿泊施設からの送迎が最も確実に落ち合えて、混載ツアーの予定の狂いを抑えることができるからです。

しかし、2010年代後半にはExpediaBooking.comといったオンライン予約サイト、Airbnbによる民泊、Ubberの車両手配などが一般化し、私たちの旅のスタイルがより自由になりはじめました。

当然、旅行者であるお客様の滞在先も複雑になり、送迎のあり方も多様性が求められているのです。

送迎をプラン化して多様性に対応しよう

大手予約サイトで長年マーケティングを担当していた筆者が直面した数々の送迎にまつわる事例と、今すぐにできるNutemgでのアクション(対応策)についてご紹介します。

多くのお客様が喜ぶ「送迎付き」プラン

旅のスタイルに変化は起きていますが、今でも多くのお客様にとって送迎付きの現地体験商品が好まれることに変わりはありません。
実際に、筆者の経験においては、現地体験予約サイト内の60%以上の予約は送迎付きプランでした。
知らない土地で現地集合はハードルが高く、自分たちの拠点である宿泊施設やその周辺に迎えてきてほしいという心理が働くのでしょう。

Nutmegで現地体験を登録すると、下記画像のように「お迎え場所」と「現地集合」を指定することができます。
この例では、お迎え場所はワイキキ市内と広いエリアを指していて、どこのホテルというような細かい指定はしていません。予約成立時には、お客様の滞在先情報が送信されますので、それをもとに事業者側でお迎えにいく場所の名称(通常はホテル名が多い)と時間をシステムに入力して、お客様へ通知をします。
現地集合はGoogle Mapと連動しているので、青字をクリックすると別窓で地図が表示されます。マップは用意されますが、言葉でも下記の画像のように補足を入れておくと丁寧です。

Nutmeg便利機能 送迎時間のやり取りが大幅短縮

先ほどの画像と似ていますが、お迎え場所を指定しておくこともできます。例えば、ワイキキのようにホテルが多すぎてすべてのホテルへのお迎えを網羅することは難しい場合。他にも、一方通行が多い、ツアー車両を駐車できる施設が限られている、などといった事情があればピックアップポイントを指定できますね。

Nutmegでは下記画像のようにお迎え場所/時間を登録しておくとお客様から予約が入った際に、宿泊施設の登録がされている限り、その場所と指定場所の距離をシステムが自動で計測して候補の中から最も近い場所を選んでくれるという機能があります。

事業者はシステムが選んだ候補地で問題ないかを最終チェックして予約受付決定をするだけ。
例えば、予約管理の新人担当者が地元出身ではなく、送迎スケジュールをかなりタイトに組んでしまった、ということありませんか?
目ぼしい場所とおおよその到着時間を決めておけば、Google Mapの位置情報からシステムが最適な場所を返すのでミスなく作業効率を上げることができます。

旅慣れたお客様が求めている「現地集合」プラン

何度もその土地に足を運んだことのあるお客様や旅慣れた方は現地体験の前にもスケジュールを組みたいと思っています。
しかし、ホテル送迎プランしか選択肢がないとしたら、指定されている時間+@の余裕をもって待っていなくてはなりませんので、予定をどうしようかという悩みが生まれます。
筆者はグアム旅行のマーケットにも関わっていましたが、2~3泊が平均という旅行期間の中で訪問できるはずだった場所が1つ減るというのは、お客様にとっては重要な決断になるということを肌で感じていました。

旅行にある程度慣れているお客様はレンタカーや公共交通機関を使って移動することも旅の楽しみと感じていらっしゃいます。


その分前後に好きなスケジュールを入れられるのですから、こういったタイプのお客様へは「現地集合」プランを用意すると予約に結びつけることができるようになります。

下記画像のように、送迎付きと現地集合でプランを分けるのです。商品管理の手間は少しだけ増えますが、Nutmegは在庫連動ができるので管理も最低限で済みます。
プランを分けると、プラン単体へのプロモーションクーポンを使った販売促進ができるようになります。

例えば、”閑散期にはお客様の参加人数が少なく送迎を行うとコストがかさんでしまう”という場合には、現地集合プランが売れるように積極的にプロモーションをかけるといった具合です。

また、送迎付きと現地集合の両プランを出す際には、できれば現地集合プランには割引のようなインセンティブがあるといいでしょう。

送迎コスト分を引いて、価格訴求もできます。

「途中離団」などのケースに対応する

ツアー中に、特定の観光地や国で離団したいというお客様がいらっしゃいます。
ツアーを楽しみながら、ツアー自体を移動手段の一つとても捉えているということですね。
こういったご要望にもプラン化で対応しましょう。


分かりやすくすると下記のイメージです。

プラン1
クライストチャーチ発/クライストチャーチ着プラン

プラン2
クライストチャーチ発/クイーンズタウン着プラン


このような要望は日本国内でも考えられます。どの場合でも、すべて一つの商品ページの中で完結させようとすると情報過多となりページからの離脱(ページを閉じてしまうこと)や予約間違いによるクレームに発展してしまうこともありますので、プランを分けてお客様に見ていただくのがおすすめです。

帰り(復路)の送迎先をカスタムする

これもよくお客様からご要望をいただく事例です。往路は送迎をしてほしいが復路は〇〇に寄りたいからそこで降ろしてほしい、というものです。
繰り返しになりますが、こういったご要望へも商品をプラン化して対応できるとベターです。お客様から言われれば対応しているけど、商品化していないということが多いのではないでしょうか?実はこういった細かい要望への対応がライバルと差をつけるポイントだったりします。

設定方法
1. 商品タイトルや商品内容の説明欄で訴求
2. 予約フォームを活用。カスタム項目として送迎先について質問を設置する

以上の方法を取れば、複雑なパターンの送迎も対応ができるようになります。
繁華街や現地体験の後に立ち寄りを希望するお客様が多いのであれば、このようにプラン化して他社との差別化を図りましょう。

予約フォームを補足的に使うと対応できるプランの幅が広がります

プラン化しないで対応する方法

プラン化をしなくても帰りの送迎先をカスタムすることもできます。下記画像のように、現地解散場所のテキストは自由フォーマットになっていますので、上述の予約フォームへの質問と合わせて、プラン化しなくても対応ができます。

プラン化のメリットは、個別販売(と販売促進)ができるというのが主な理由です。商品が多くて見づらくなってしまうような際は今紹介しているように一つの商品ページで表現するというのも方法です。

空港送迎の商品設定方法

空港送迎をされている事業者様でも基本的な送迎設定はここまでの説明と同じです。
空港送迎では以下のパターンが考えられます。

・空港お迎え、ホテルお送り
・ホテルお迎え、空港お送り
・空港/ホテル 往復(別日での案内が基本)

これらは極力プランを分けて販売をするようにしましょう。一つのページでは情報量が多くなりすぎて、理解されづらくなってしまいます。

チップについて明記しよう

最後に、これは海外で営業をされている事業者様へのアドバイスになりますがチップが必要なのかどうかは商品ページに明記しましょう。
予約への影響の点では、チップは含めて販売することを強くおすすめします。
商品代金に含めると課税対象になるから・・・と言われる事業者様に出会ったことがありますが、それ自体の良し悪しはさておき、お客様の予約数には必ず影響します。
また、ビジネストラベル(出張)では領収書がないと経費精算ができませんので、チップ制度は好まれません。

そういった背景も考慮し、送迎時のドライバーへのチップ支払いが必要性は明記してトラブルを回避しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
国内外問わず、観光に行かれるお客様のうち送迎のご要望はとても高いものとなっています。宿泊先からの送迎が最もベーシックなもので、今は民泊といった新しい滞在方法がありますので送迎の対応が大変という事業者様も多くなっていることと思います。
Nutmegのシステムには送迎先の情報を予め登録することで、ピックアップ情報を自動化することができるので、担当者の作業効率を向上させることができます。

お客様によってはそのまま集合場所に向われたり、途中で解散したりとイレギュラーなパターンも出てきます。プランを分けることで、多くのパターンには対応ができますので当記事を参照して、お客様のニーズに合ったプランと販売促進を行っていただければと思います。

次回は、コロナ禍のニューノーマルとして注目されるであろう貸切送迎についてもフォーカスしていきたいと思います。