現地体験の空き状況(在庫)が増減した際には、Nutmegの場合には管理画面内の「カレンダー」から編集します。在庫管理は定期的に行っているものとは思いますが、売上に及ぼす影響をしっかりと把握されている事業者様は決して多くはありません。

この記事では在庫更新がいかに売上を直接的・間接的に伸ばす要因になるのかを説明します。

リクエスト予約だからNG回答してもいい、は間違い?

リクエスト予約はその文字とおり、お客様からの予約はあくまで”リクエスト(要望)”なので、満席時やツアー実施のための人数が足りていないときにはお断りをしてもいいと考えるのが、従来のスタンスでした。

リクエストを必ずしも確約することは難しいことは承知している中で、あえて進言すると、リクエスト予約回答NGはゼロではなくマイナスの行為だと考えています。

その理由についてそれぞれ見ていきます。

お客様の目線では、代替商品はいくらでもある

現地体験を直接経営されている場合、自分の地域に何社同業者がいるかは把握されていると思います。しかし、お客様にとっては、選択肢は必ずしも貴社や同業者だけではありません。体験ダイビングに参加しようと思ったけれどNG回答だった場合、他にも体験ダイビングを実施している会社は存在しているでしょうし、体験ダイビング自体の参加を考え直して、参加日にまだ空いている他の体験から選ぶこともできます。

NG回答が続くと顧客が離れていく

「顧客ロイヤリティに勝るものなし」。売上の8割は2割の優良顧客で生まれるものです。

ここで、お客様が予約をリクエストするまでのカスタマージャーニーを考えてみましょう。

<カスタマージャーニー例>
両親に感謝の気持ちとして旅行をプレゼントしたい→両親の好きそうな場所をリサーチして→ガイドブックや旅行会社で情報収集して→予算を考え→ホテルや交通手段を予約して→現地で思い出作りの体験を申し込む

形は違えど、色々な目的を持ってお客様は旅行にきています。リクエスト予約を入れるまでに、何時間も頭を悩ませた方もいるでしょう。その結果が「リクエストNG」では、ガッカリしますよね。仕方がないことかもしれませんが、始めから受付できない日は管理していれば、お客様に気持ちよく旅行をプランニングしていただけますね。

このような積み重なが顧客満足度に繋がり、優良顧客となって、事業者様を支えてくれるものだと考えています。

1つのNG回答は10の売上損失

何百社もの現地体験事業者様とお会いして、インタビューをしてきました。その中で、営業成績を成長させている事業者に共通しているのは、予約1件1件をとても大切にしているということです。

「ガイドにとっては1000回目の場所だけど、お客様は常に1回目。同じ気持ちでガイドする。」というのは、当たり前のようで、難しいことだと思います。

つまり、1顧客が生み出す価値を、1回限りと捉えるか、LTV(生涯顧客価値)を重視するか、ここを考えることが大切です。

仮説を立てるためにも、過去に参加したお客様に関するデータを分析しましょう。2回以上参加しているお客様のインターバルは何か月なのか、平均単価はいくらなのか、といった分析を行うと、これまでとは違った判断基準が出てくるはずです。

売上に繋げるための2つの目標値

予約NG率は10%以下に抑える

リクエスト予約の申し込み総数に対するNG回答の割合を定点観測しましょう。
その結果、NG率が10%を上回っていると黄色信号です。予約受付がされない会社だと思われ、お客様を取り逃してしまいます。

実は、この10%という基準は比較的厳しい目標値で、現地体験業界では、20~30%のNG率ということも珍しくはありません。

お客様の選択肢が他にないような、買い手市場の観光地ではそれも成り立つのですが、今後旅の自由化がより活発になれば、選択肢はどんどんと増えていきますので今のうちから10%以下を常に目指してキープしていく努力が求められます。

また、NG率が20%を越えるような商品は、旅行会社や予約サイトでは契約停止ということにもなりかねない、危険な数値ですのでご注意ください。

再予約率(リブック率)は40%以上を目指す

リクエスト予約をNG回答した際に、別日程や別コースで再予約してくれるお客様が全体の何割ほどいるかきちんと分析することは大変重要です。この分析ができている事業者とそうでない事業者では、売上や顧客満足度に大きな差が生れます。

再予約率は100%に近いほどよく、旅行業界では40%が最低ラインといえます。
このラインよりも再予約率が下回るのであれば、新規顧客の獲得→リピーター形成というサイクルを生むことは難しいと言えます。

具体的な対策について

NG率と再予約率という2つの指標を改善していくためにどういった取り組みが効果的かいくつかの具体例をあげさせていただきます。

最少催行人数のボーダーを下げる

最少催行人数は、毎回収益が黒字となる人数設定ではなく、1年を通して売上がコストを上回ることができる人数から逆算して設定しましょう。

予約がNGとなる理由の半数近くは最少催行人数に達していないことが要因です。閑散期だから仕方がないのではなく、お客様の参加形態とマッチしていないのが一番の要因ですので、「1名参加が続くと赤字になることもあるが通年で考えればグループもくるのでOK」と言えるような人数設定がいいでしょう。

顧客が生むLTVこそ重視し1回で回収するということは考えない。これが長期的に成功する秘訣です。

最新の空き状況(在庫)の更新方法を改善する

空き状況カレンダーの更新を頻繁に行う重要性は理解していても、現実的に対応ができない場合があります。例えばこのような場合です。

・予約件数が多く、処理能力が不足している
・営業時間外の予約によるオーバーブッキング
・現地体験のガイド対応中で対応ができない
・提携している予約サイトや旅行会社の在庫管理まで工数が追い付かない

他にも理由は考えられますが、主にDX化(デジタルトランスフォーメーション化)が進められていないことに原因がありそうですね。
NG率が20%以上あるような危機的状況ならば、予約管理システムを導入して在庫数や最少催行人数に応じた処理が自動化できる方法を探しましょう。
Nutmegシステムでも対応しておりますし、その他のシステムの導入も選択肢になります。

在庫連動で手間を省く

販売している商品数が多いと、1件1件空き状況を更新するのは大変手間だと思います。商品数が多くても、担当するガイド・スタッフは数名の場合も多いですよね。

Nutmegの予約管理システムを使う前提での提案ですが、このような時には商品同士の在庫を連動させると便利です。

例えば、ツアー数がA~Cまで3つある事業者で考えてみます。
12月1日にガイドAさんにはツアーAに出てもらうことになりました。つまり、ツアーBとツアーCの12月1日の空き状況は「0」となります。事業者様は予約管理システムから該当日のツアーB&C合わせて2回同じ操作をしなくてはなりません。こういった操作が積み重なると、工数が膨大になり、作業だけが増えてしまいます。

そこで、ガイドAさんが対応できるツアーをそれぞれ「共通在庫」として設定します。大元となるツアーを一つ選択しておけば、以降は大元の在庫を調整するだけで、他のツアーも連動して在庫が反映されます。上記の例では、2回必要だった操作が半分の1回で済むことになりますので、作業時間が短縮しますね!

空き状況の更新が後手後手になってしまうのは、作業が細かく煩雑であることが要因に思えます。予約システムは工夫次第で作業時間を短縮してくれるものですので、自社に合った使い方を探していただきたいと思います。

代替日を伝える

代替日とは、仮にお客様の参加希望日が満席や事業者側の都合で催行できない場合に、他の参加可能日を提示することです。

一度予約のリクエストを送っているということは、購入意欲が100%に達したということですので、他の日程候補を提示できれば、再予約を促すことができます。

新規でお客様を獲得する工数よりも、代替日の提案で再予約を促す方が遥かにコストが安いので、やらない手はありません。

代替日は参加希望日の前後1日でできれば出すと、再予約率が高まります。残念ながら前後1日で提案できる日がなければ、最短日程でも構いません。

付加価値に関してはアフターコロナにもバッチリの具体例をいくつかご案内します。

まとめ

忙しい時期には1時間単位で予約状況が変わり、手作業での更新が大変な空き状況の管理。現地体験を行うという主業務とは切っても切れない事務作業ですが、空き状況を正しく伝えられないとお客様を逃してしまいます。一度離れてしまったお客様を取り戻すのは容易ではありませんので、当記事でご案内した具体策を講じながら、「NG率」と「再予約率」を目標値以上にするためのアクションを取り続けましょう。

そうすれば、お客様の中からリピーターが徐々に増えていき、企業の成長を支えてくれる柱となるでしょう。