前回の記事ではプラン化についての基本説明とNutmegでの設定方法について解説しました。今回はそこから一歩踏み込み、具体的にプランをどのように活用すべきかをご案内します。

プランについて

現地体験の基本行程から一部派生する追加サービスがあり、それを商品として括ったものを”プラン“と呼んでいます。Nutmegではプランはそれぞれ独立したURLを持つページで管理します。売れ筋の商品に新しいサービスを追加してより強くアピールしたいというときなどにプラン化がおすすめです。
(プラン化について詳しくはこちらの記事をご参照ください)

今回は、プランを活用した販売促進アイデアをご紹介します。応用次第ですぐにで実施できるものもあるはず!ぜひ自社体験商品の企画にご利用ください。

売れるプランの作り方

ここからは実際に事業者様と行った実例も含めて、プランの活用方法を紹介します。

「食」はプランで盛り上げる

日本人は生まれたときより大変高品質な食事文化で育ち、世界的に見ても類をみないグルメな民族だと思います。数々の企業がグルメは旅の目的になるか?という調査を行っており、およそ半数以上の回答が「YES」というほど。
それほど私たち日本人にとって食べるという行為は重要なのですから、これをプラン化できれば大きなビジネスチャンスが生まれます。また、これは日本人に限ったことではなく、日本を訪れる外国からのお客様も日本食に強い興味を持ってくれています。

仮のツアーですが例としてみていきましょう。
この例ではどちらも基本となる内容はタイ・バンコクの寺院巡りツアーという想定です。左側のツアーの追加オプションとしてランチは注文できるようになっているとお考えください。同じツアー内容でランチもオプションとして頼める。それなのに、右のツアーの方が予約したくなりませんか?

プランをオリジナルの商品からスピンオフさせるプラン化にはこのように、埋もれてしまう商品の付加価値の魅力を引き出す効果があります。この効果と「食」はとても相性がいいということを覚えていただければと思います。

特徴的な食事は具体性を持たせ、プラン化すると一気に注目を集めることができます

現地体験の事業者様は、自身のサービスに磨きをかけるだけでなく、地元で活躍する料理人の方にアプローチして現地体験+料理の付加価値を見つけていただきたいと思います。地域の活性化にも繋がりますし、現地体験と食は切っても切れない仲なのです。

お客様の「不便」を解決するコミコミプラン

お客様が不便と感じるポイントを想像して、その穴を埋めるサービスをプラン化できると満足度も予約率もグッと上がります。

お客様にとっては朝起きてから寝るまでが旅行ですので、できるだけ不便な思いをすることなく楽しく過ごしたいと思っています。特に現地体験に参加する日はスケジュールがどうなるか正直分からないから前後の予定を決めづらいと感じています。現地体験の参加者によく「このあたりで美味しいご飯屋さんはありませんか?この後どこ行こうか決まってなくて。」と質問されること多くないでしょうか?次の予定が決まっている方よりもこういった方が多いはず。お客様は不便と思っているポイントを解決してくれるならば喜んで追加料金を支払います

食事以外にも、「この後行けるおすすめの観光スポットない?」、「空港からそのまま参加して、ホテルで解散したい」「海でたくさん遊んだ後は疲れるからスパでマッサージを受けたい」といったような要望を旅行会社勤務時代にお客様からよくいただいていました。

自社のサービスを超えて、お客様の”旅行体験”を向上させられるかが重要

それは自分たちの領分じゃないと決めずに是非一緒に組んで(=プラン化して)対応してくれる企業がないか当たってみましょう。

旅程を充実させるコンボプラン

コミコミプランはお客様の”不便”を解決する提案型の商品です。
コンボプランは少し似ていますが、シンプルに商品AとB をくっつけて商品C にするというもの。
そんな単純なものでいいの?と思われるかもしれませんが、実際にコンボ商品に予約は入ります。お客様は旅行のプロではありませんので、参加する体験商品が本当にウェブサイトに記載通りのスケジュールで催行されるのか分からず、前後の予定を空け気味にしています。つまり、予算ではなくスケジュールの関係で購入点数が低くなっているということ。

事業者が予めスケジュールを担保しているコンボプランにはお客様も安心して申し込みができるため上記のようなお客様を取り込むことができます。

予約数を増やすコツは食事付きプランやコミコミプランと同じで、組み合わせる商品は他社も含めて検討をする方がお客様目線であり、満足度も予約率も上がります。自社サービスだけで完結できれば収益率は大きく上がりますが、それが本当にお客様が求めている旅程なのかを一度考えてみましょう。もちろん、その旅程がベストだと自信をもってプロデュースできるならば問題ありません。

様々な送迎・集合場所パターンをプランで区別する

現地集合や片道送迎、往復送迎、空港送迎といった色々な送迎パターンを展開されている事業者様は、プランで分けるとウェブサイトが見やすくなります。
また、お客様の人数が少ない時期には送迎は難しいという事業者様もいらっしゃいます。こういう場合には、送迎を特定の季節だけ有料にしたり、現地集合プランを別に用意してキャンペーン設定を行い、できるだけそのプランを選んでもらうように誘導するといった工夫ができます。

空港送迎をメインに行う商品の場合には、以下の3パターンが考えられます。Nutmegでは1つの商品ページに複数のプランは併記できないため、違いが大きいときにはできるだけプラン化して個別に販売を行いましょう。
・空港→ホテルお送り
・ホテル→空港お送り
・空港⇔ホテルお送り(往復)

貸切プランを作って単価アップ&3密対策

新型コロナウイルスを広げないために、旅行業界でも3密対策が大変重要と言われています。現地体験では、混載型が通常ですが、2021年以降は自分たちだけの現地体験、すなわち貸切需要が多くなるでしょう。

これまでは安価な混載型の体験に流れていたお客様も、安全性を重視して貸切へのご要望が増えていきます。
通常プラン/貸切プランの2つのページを用意しておけばこのような需要を逃すことなく取り込めます。貸切はお客様1人1人へのケアができるため満足度が大きく向上し、リピーターにも繋がります。リターンも大きなカテゴリですので別ページとして改めて訴求点を徹底的に作り、宣伝をしていきましょう。

ガイド指名プランは強力なリピーター形成術

筆者が旅行会社勤務時に、お客様に行ったアンケート調査で、「またこの場所に再訪したいと思うか?」という質問に対して「Yes」と回答したお客様の理由の半数近くは「ガイドさんにまた会いにいきたいから」というものでした。現地体験の品質もさることながら、誰が体験を伝えるかが最も重要だということを示唆しています。

お客様との長期的な関係を維持してリピーターに変えるためにも、ガイド(担当者)を指名できるプランを用意して、プロモーションを行うことは大変有効な手段です。プラン化しておけば、参加後のお客様へのフォローアップメールやメルマガ配信にも活用できますし、良い評価が増えればスタッフのモチベーションアップにも繋がります。

指名プランのコツとして、通常プランよりも指名料を含めた高い値段設定にしましょう。ガイドをブランディング化して収益率を上げ、その分お客様へは満足いただける最高のサービスでお返しします。

高単価なオプションはプランに切り替える

用意できる追加オプションの中から現地体験の価格の20%以上するような単価のオプションはプランとして独立させてプロモーションを行う方がしっかりと集客ができることが多くなっています。それくらいの単価になると、オプションという位置付けよりは明らかな追加サービスですので、訴求点などを明確にしないと予約していただけません。

プランはできれば3つ用意する(松竹梅の法則)

「高単価なオプションはプランに切り替える」の続きにもなりますが、プラン化を行う際にはできれば3つ、プランを出しましょう。2つでも4つでもなく、3つがおすすめです。
・通常価格(梅)
・松と梅の間くらいの価格プラン(竹)
・高価格プラン(松)

これは松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)ともいい、選択肢を3つ与えられると人間は極論を避ける、つまり真ん中の平均的なものを選ぶという心理を利用したマーケティング手法です。実際に筆者が以前勤務していた大手オンライン旅行会社でも、プランは常に3つ出すということを徹底し、売上単価を積み上げてきた経験があります。

松竹梅の法則を使うときのコツは、初めから竹プランを売るつもりで付加価値を考えることです。松プランには当然予約が入ってほしいのですが、あくまで竹プランを売るためと割り切って価格設定を行います。お客様への満足度を高めることが大切ですのでなんでもいいというのはもちろんNGですよ!

まとめ

1つの現地体験の中には、いくつもの可能性が眠っています。お客様からの声や時とともに変化した現地体験を予約に繋げるのが「プラン」として商品ページを独立させ、個別にプロモーションをかける方法です。自社マーケットプレイス機能を使うとカテゴリ分けといった方法でより見やすい形でプランを管理し販促していくことができます。